遊劇体#63『われわれは遠くから来た、そしてまた遠くへ行くのだ』

その夜、日本列島は、超大型で最大級の猛烈な台風に見舞われていた。そのさなかに南海トラフ地震が発生したのだ。それは史上最大級で震度8をも超えたという。ツダのまちはどうなった。もはや知るものはいない。ここは村の消防団の屯所でまちがいないのだろうか。それとも防空壕の中なのか、いや墓場か。もはや何ら町の形を残すものは無いのじゃないだろうか。わたしたちはわからないまま、埋もれている。

大阪府南部の架空の町ツダを舞台に、日本人を定点観測し続ける連作〈ツダ・シリーズ〉。前作『空のトリカゴ~Birdcage In The Sky~』(第64回岸田國士戯曲賞最終選考・第27OMS戯曲賞最終選考)以来、1年半ぶりにリリースする第10話(たぶん最終回)。ご期待ください。