令和の時代。
大阪府南部の山裾のまち。
盆踊りの日の朝(もはや踊る人などほとんどいない)。
ワタシの住むムラでは、人が消え、空き家が増え、住人を失った家は荒れ果てている。
ムラナカは老人ばかりだ。
うつらうつら夢のなかを彷徨っているワタシのもとに、幼なじみがやってきた。
若き日の記憶がよみがえる。
幼なじみはワタシを迎えにきた。
大好きだった先輩もやってきた。
甘き懐かしい青春時代に回帰する。
走馬灯がよぎる。
ワタシはゆかねばなるまい。
また、ムラからひとり人が消えるのだ、と思う。
2019年、第64回岸田戯曲賞最終候補作品となった「空のトリカゴ」に続く、
架空のまち『ツダ』を舞台としたキタモトマサヤによる連作シリーズ、書き下ろし最新作。